大牟田を代表する夏のまつり”おおむた「大蛇山」まつり”。
毎年7月の第四土曜・日曜に大牟田市の中心街「大正町」にて、様々なイベントが開催され、市内外から集まった多くの大蛇山を間近で見ることができる2日間です。
今回は、その"おおむた「大蛇山」まつり”ってどんなおまつりなのか、大牟田市民以外のたくさんの方に知ってもらいたく徹底解説。見どころや地元の人も意外と知らない情報もあるかと思いますのでぜひご覧ください。

"おおむた「大蛇山」まつり"ってどんなお祭り?

"おおむた「大蛇山」まつり"というのは、衹園祭、港まつり、炭都祭りを一つの祭りとして開催しています。
昭和三十六年に第1回目が開催され(当時は「大牟田夏祭り」という名称)、現在は、『おおむた「大蛇山」まつり』と名称を変えて開催されています。

【衹園祭】
衹園祭は大牟田市内の各神社の祭礼行事です。大牟田には衹園の神社が六つ(衹園六山)あり、それぞれに大蛇山を祭礼行事として奉納しています。衹園祭当日は、各神社ごとに地域巡行・かませ・競演などをそれぞれの伝統やしきたりを守りながら開催されています。
おおむた「大蛇山」まつりとしては、衹園六山がおまつり広場に集まり巡行します。

【港まつり】
7月の海の日に合わせて行われるイベントです。
メイン会場の三川坑跡では、ステージイベントのほか、地元の高校生ら制作のランタンが展示。所狭しと屋台が立ち並び、まつりシーズンの到来を告げます。

【炭都祭り】
今現在は、炭都祭りの名称で催しは開催されておりませんが、「一万人の総踊り」や大牟田文化会館での「市民職場対抗歌合戦」が名残りとして開催されています。

「大蛇山」とは?

「大蛇山」とは、全長約十メートル、高さ約五メートル、重さが最大三トンにもなる山車(だし)のことで、木製の山車に和紙、竹、わら等を組み合わせて作った頭・胴体・しっぽが大蛇のように飾りつけられています。
まつり当日は、何台もの大蛇山の山車が、火煙を吐きながら街を練り歩きます。巨大な頭を左右に振りながら、勇壮な掛け声を上げ、太鼓や鐘を打ち鳴らしながら縦横無尽に動く姿は、大牟田ならではの風景です。

知っておきたい「大蛇山」にまつわる7つの事

①どんな「大蛇山」があるの?

現在、大牟田市内には数多くの大蛇山がありますが、大きく分けると"衹園六山"と”地域山”があります。

"衹園六山"は三池本町衹園宮、三池藩三池新町彌剱神社、本宮彌劔神社、大牟田神社第二区衹園、三区八劍神社、諏訪神社の六つの神社の大蛇山のこと。各神社は、大蛇山を祭礼行事として奉納しており、その歴史・しきたりを重んじています。

”地域山”は"衹園六山"とは別の由来(まちの活性化・青少年健全育成等)を持つ大蛇山です。昭和四十年代以降に作られ始め、大牟田全体に広がっていきました。

”おおむた「大蛇山」まつり”では1日目は”衹園六山"による巡行、2日目は”地域山”によるパレードが開催されています。

②大蛇山の起源は?

「大蛇山」の起源は、三池藩立花氏によって三池新町の衹園宮が勧請された1640年以降のこととされています。江戸時代に三池地方(※1)で始まった大蛇山の原型に倣い、明治時代から大牟田衹園が大蛇山を作り始め、大牟田の各所に広まりました。
(※1…現在の大牟田市三池の本町と新町)

現在はスサノオノミコトを祭神とする神社の神事として「悪疫退散」「五穀豊饒(ほうじょう)」「無病息災」を願い奉納されています。

③大蛇山ってどうやって作られているの?

大蛇山をかたどっている主な材質は竹・稲藁(ワラ)・紙の3つのみです。

"衹園六山"の大蛇山は、三池・大牟田における衹園社の祭礼行事のために製作されており、神社ごとに製作方法も様々です。

今回、2024年の"おおむた「大蛇山」まつり"で一番山を務めた「大牟田神社第二区衹園」の大蛇山の製作過程を取材してきました。
詳しくはこちらをご覧ください。

④大蛇山はどこに行けば見られるの?

"おおむた「大蛇山」まつり”のメイン会場となっている大正町おまつり広場に大蛇山が登場するのは、六山巡行・大蛇山パレードのみです。それ以外の時間帯は、各大蛇山ごとに行事ごとが決まっており、拠点となる場所に鎮座し、地域巡行、かませなどを行っております。

実はお祭り会場でのパレードだけではない、「大蛇山」の2日間の様子はこちらの記事(「大牟田神社第二区衹園祭」を密着取材)をご参考に。

⑤「かませ」ってどういう意味があるのですか?

毎年氏子達の手により製作される大蛇は、入魂式で魂が入り衹園の祭礼として奉納されています。
その御神体である大蛇の口に、子どもを「かませ」ると、その子の一年間の無病息災が約束され、泣くほどにご利益があると伝えられています。(地域山では「子ども健康祈願」として行われています。)

各山によって「かませ」をできる時間帯が異なりますのでご注意ください。
大蛇山まつりの公式サイトの【イベント案内】および各山の公式情報よりご確認ください。

(写真:大牟田神社公式HPより)

⑥大蛇山に「雄」と「雌」があるって本当?

意外と知られていないのは、大蛇山には「雄」と「雌」があります。

衹園六山の場合は、
雄大蛇が「三池本町、第二区、諏訪」
雌大蛇が「三池新町、三区、本宮」と言い伝えられています。

雄と雌は、色や形(目の向きなど)が違い、三池二山(三池本町と三池新町)がその原型をとどめています。
現在、三池二山以外の大蛇山の雄雌の違いは明確でなく各山特有のものになっています。

⑦大蛇山は大牟田だけのお祭り?

大蛇山はこの地方独特の祭りであり、大牟田以外にも福岡県内では渡瀬、江浦、中島、熊本県内では南関などでも見られます。 

おおむた「大蛇山」まつり の主な行事

以下の内容は、2024年開催の第62回"おおむた「大蛇山」まつり”での行事を参考に記載しております。最新情報は、公式サイトをご確認ください。

▼公式サイト:おおむた「大蛇山」まつり
https://www.omuta-daijayama.com/

【1日目(7月第4土曜日)】

●オープニングセレモニー [宵あさ/theSHot!よさこい演舞]

●ちびっこ広場・ちびっこ総踊り

●一万人の総踊り
市民による1万人の総踊り。 「炭坑節」や「大蛇山ばやし」の曲に合わせ、約2キロにわたり列をなしての踊りが繰り広げられます。
当日の飛び入り参加もできます。

●衹園六山 巡行・競演・御止 (19:10~21:45)
衹園六山の勇壮な大蛇山が花火と煙を噴き上げながら行進します。

20時15分頃  御止・かませ
21時00分頃 全山競演

※かませ
御神体である大蛇の口に、子どもを「かませ」ると、その子の一年間の無病息災が約束され、泣くほどにご利益があると伝えられています。
(地域山では「子ども健康祈願」として行われています。)

大蛇山衹園六山のご紹介

スサノオノミコトを祭神とする衹園の神社が大牟田には六つあり、それぞれに大蛇山を祭礼行事として奉納しています。
その六つの山を総称し衹園六山と呼んでいます。

その歴史、しきたりは神社ごとに違いがあり、「大蛇山の顔や入り」「ホラ貝の吹き方」「樂(がく)・奏樂(そうがく)・囃子(はやし)」「掛け声」「山車の動かし方」など特色があります。
大蛇山発祥の地である、三池二山(三池本町衹園宮と三池藩三池新町彌剱神社)は大牟田市無形民俗文化財に指定されています。

三池本町衹園宮(通称:三池本町)
三池藩三池新町彌剱神社(通称:三池新町)
本宮彌劔神社(通称:本宮)
大牟田神社第二区衹園(通称:第二区)
三区八劍神社(通称:三区)
諏訪神社(通称:諏訪)

【2日目(7月第4日曜日)】

●ちびっこ大蛇・ちびっこみこし (17:00~18:00)
市内の幼稚園児などのちびっこたちによる大蛇山やみこしを披露します。元気いっぱいの子どもたちががんばる様子をご覧ください。

●大蛇山集合パレード (18:00~22:00)
市内外から12基もの大蛇山が勢揃いします。この迫力ある姿をぜひご覧ください!

▼詳細スケジュール
18時00分 地域山運行
18時40分 地域山全山競演
18時45分 アピールタイム
20時05分 全山競演・子ども健康祈願
20時50分 運行、退場

地域山紹介

手鎌大蛇玄武會
南関ぎおん大蛇山
金龍会下里山
童龍会大蛇山
新栄町龍山會
吉野睦會大蛇
夏祭り振興旭栄会子供大蛇山
上官上龍会
船津翔龍会
県堺大蛇山
明治泰龍会
栄町龍栄會
2017年(平成29年)の第56回は大牟田市政100周年を記念し、衹園六山巡行の開始時に初めて六山が整列して記念撮影が行われた。